ギシ・・ギシ・・ギシギシギシギシ・・・
あの日は外来診察中でした。目下患者さんと対面していました。
ゆらゆらと建物が軋みだしました。
外来棟は新しく、倒れそうな棚もないため、さしあたって危険なものも見当たりません。
揺れが収まるのを待ち、診察を再開したらまた揺れ始め…
「大丈夫ですか?」
(シーン)
外来の待合の人々に声をかけたら、意外にもみな冷静沈着だったのには救われました。あの時の情景はきめ細かく記憶に刻まれています。
ヘリコプターから撮影された、津波が田園風景を飲み込んでいく姿…
外来のスタッフルームのテレビにまざまざと映し出されており、動悸が収まりませんでした。
あれから6年。
いまもってなお、言葉にできない悲しみがあります。
「自分が現場にいたら何ができた?」
問いたところで、絶望感に打ちひしがれるだけです。
今の僕らにできることは
その事実を次世代に語り継ぐこと。それをどう解釈するかはその時代の人に委ねます。
視察の記録
2013年に石巻赤十字病院を訪問した際の視察の記録の一部です。
2013年当時、女川町の横倒しのビルは保存するかどうか議論中でした。
が、解体されたらしい。時代は前に歩みだしたようです。
あなたはあの日、あの時、何をしていましたか?