こんにちは、金沢です。
『ミュシャ展』国立新美術館 2017.3/18-6/5

ミュシャといえば、ポスターに描かれた可愛らしい華々しいアールヌーボーの美人のイラストを想像します。輪郭を太く書き込んだ、均質なトーンで塗りつぶされた力強いアールヌーボー調の飾り。同時にやや写実的に描かれる躍動感のあるポーズをとる女性。漫画っぽさと写実的絵画の融合が面白いですよね。
しかし、今回はイラストとは対照的です。戦争の醜さを表現する重いテーマ。イラストっぽい雰囲気はかなり排除されています。
ミュシャの人生の晩年16年の歳月をかけて描かれました。写実的で宗教画っぽい。いわゆるミュシャっぽくない。これを見てミュシャの作品だとわかったらすごい。
かといって完全に写実的かといえばそうでもない。
イラストレーターらしさは垣間見えます。
『スラヴ式典礼の導入』

引用:ミュシャ展チケット
広場に群れ集まる民を斜陽がギラギラと照らし出します。光の照り返しの表現で濃淡のグラデーションがないあたりはイラストっぽいかなあ。
これを背景にして、別の場面の複数の人物画をレイヤーで重ねています。複数の物語を詰め込んだのでしょう。しかし、レイヤーがはみ出ているのです。少年の足や司祭?の頭が背景からはみ出ているのです。(このチケットのイラストでは分からないけど)。
つまり、
レイヤーにしていることを強調しているのです。重ねて、重ねて、・・・・
なぜ?なんのために?
時系列に表現しているのかな?苦難の戦から勝利を勝ち取った、みたいな?
もう一つの疑問、人物画が色彩が淡い
手前に重ねられた人物画の方が主題になりうるのに、なぜか色彩は影のように淡い…
つまり、彩度の強い背景に視線が誘導されてしまう…
淡い影で表現された人物画は過去のもの。背景がもっとも現在に近いということなのだろうか? 🙄
なぞ…
他にも「原故郷のスラヴ民族」「ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭」も同様の構図になっています。
あなたの解釈を教えてくださいませ 🙂
追伸
16年の歳月はあまりに長いです。最後の方は未完成の作品もありますよ。