ゴッホの「花魁(おいらん)」にみる、日本に馳せる切なる思い

ゴッホにとって、日本は「夢の国」だった。

ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 Van Gogh & Japan

北海道立近代美術館 2017年8.26-10.15

ゴッホ展のチケット
ゴッホ展のチケット。ゴッホカラーの黄色がまぶしい

この度の展覧会の特徴

  • 日本とゴッホとのつながりがテーマ
  • 「ひまわり」はない。
  • 黄色い家の「寝室」がある。
  • ゴッホがインスピレーションを受けたとされる浮世絵がある。
  • ゴッホの死後、日本人がゴッホを巡る、その記録

ゴッホは、日本を勘違いレベルにまで誤解して「夢の国」と思っていたらしい

ゴッホは日本を訪れていない。日本を訪れた人から話を聞いたり、日本の作品をみて「Japan」を想像していた。しまいには、アルルを日本に見立てて移り住んでしまった。
1880年に日本の美術がヨーロッパに紹介され、1990年にはパリで「浮世絵展」が催される。日本の商社が作品をたくさん輸出していたのだ。当時のゴッホたちは浮世絵に触れる機会があったのだ。
日本愛の強かったゴッホは浮世絵を模写している。

その作品のひとつが「花魁(おいらん)」

上のチケットの絵。

オリジナルは渓斎英泉の「花魁」

渓斎英泉の花魁
オリジナルは右向き

左右反転している理由

日本に紹介された時のパリイリュストル誌1886年5月号の表紙に、この「花魁」が左右反転した状態で印刷されてしまったのが原因らしい。

少年のような気持ちでウキウキして模写した

ゴッホの遊び心を感じる。「花魁」のバックにある池?竹林?に鶴が2羽とカエル2匹。これは二代歌川芳丸による作品などの模写。

あなたも子供の頃、漫画を模写したかな?わたしは「キン肉マン」を描いていたな〜。なんか楽しいんだ。

お手本とにらめっこしながら心踊らせるゴッホが目に浮かぶ。

ゴッホの筆のタッチに、なんとなく稚拙な印象を受ける。書き慣れない日本の浮世絵を一生懸命に模写するけど、油画で再現するのが難しいのだろうか。

ゴッホの好きな、まばゆいばかりの黄色を軸として強い色で表現されている。黒く太い輪郭がカクカクと直線的に表現されている。「メカおいらん」か。

しっぽりしたwabisabiのジャポニズムのかけらも感じなくなってしまっているのが面白い。

ファン・ゴッホ美術館(アムステルダム)との初のコラボ企画とのこと。

オーヴェルシュルオワーズの16mmフィルム動画

橋本関雪の(1)ガシェ氏ヲ訪フ:30秒(2)ゴッホノ墓ニ詣ル:41秒

昭和2年のもの!貴重な動画である。感動である。なぜかって?私が訪れた時を思い出したからだ。 😆

余談:2006年にオーヴェルシュルオワーズを訪問

オーヴェルシュルオワーズはゴッホがなくなる直前の半年間くらい滞在した土地。パリから列車で30分程度だったかな。

ガシェ医師(ゴッホが通った医師)の家とゴッホの墓を訪れた。

ガシェ医師の家
ガシェ医師の家の門は開かれていた・・・
ゴッホの墓
向かって右隣には弟テオの墓がならぶ

訪れる者も見当たらず、静かな街だった。どんよりした雲がまだらに浮かんでおり、合間から射す陽の光がキラキラとあたりを照らしていた。
ゴッホ展
2017年8月26日〜2017年10月15日:北海道立近代美術館
2017年10月24日〜2018年1月8日:東京都美術館(詳細はこちら)
2018年1月20日〜2018年3月4日:京都国立近代美術館(詳細はこちら)

あとがき

日本美容外科学会の発表が終わったその足でそそくさと北海道立近代美術館を訪れた。金曜日は19時半までOK。カチコチの緊張から解かれて色鮮やかなゴッホの世界にしっぽりと浸ったのであった。

北海道立近代美術館
昭和を感じるデザイン。40周年とのこと。

 

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