破れたマメの痛くない治し方|湿潤療法

まめがつぶれたあと
中指のマメがやぶれた〜

やってしまいました。

庭の草取りに熱中していました。終わったら右中指に「ピリッ」とした痛み。水ぶくれができていましたが、すでに袋は破けていました。手袋をしていたのですが、マメ(水疱、肉刺)ができたのに気づかずに作業を続けた模様。

破れたマメの対処法

マメの水ぶくれは破かずにそのままにしておくことが多いですね。しかし、何らかの原因で裂けてしまった場合、どのように対処したら良いのでしょう?🤔

以下の選択肢から何を選びますか?

  1. 消毒して乾かす
  2. ワセリンを塗る
  3. 創傷被覆材を貼る

正解は

「2,3」です。1はバツ。創傷治療の観点からは理想は3です。

痛みの度合いは1>2>3です。

湿潤療法とは?

「傷を乾かさないように治す」というもの。

かつては「傷は消毒して乾かす」が主流でした。傷に粉末をかけて乾かす「〇〇ドライ」という商品がテレビCMで放映されていたのが思い出されます。いまはそんな治療をする人はいなくなりました。

なぜ傷を乾かしてはいけないのか?

「細胞は乾燥に弱い」からです。細胞にとって乾燥は「死」を意味します。細胞は乾燥から身を守る鎧を持ちません。オタマジャクシのように、水から出したら干からびて死んでしまうのです。

傷の修復の主役となる「細胞」を乾燥に曝さない必要があります。

おまけに!乾燥する時に傷は痛みを発するのです。

創傷治療は細胞培養

細胞を培養するときに必要なもの。「培養皿、培養液、血清、37度の環境」です。培養液は水と電解質、アミノ酸です。血清は細胞の分裂を刺激するタンパク、いわゆる成長因子です。

細胞を培養し、傷を修復するのです。細胞を増やし、細胞外基質(いわゆるコラーゲンなどの足場)を建築し、細胞を移動させたり、組織を収縮させます。

ここで重要なことがあります。「消毒をしないこと」です。細胞培養するときに培養皿に消毒液を垂らすおバカさんは実験室にはいません。そんなことをしたら細胞は全滅します。消毒液は細胞にとって「猛毒」であり、「鎧」を持たない細胞にとっては致命傷となります。

ちなみに細菌は「細胞壁」という鎧を持ちます。だから消毒薬は細菌を殺すよりも先に細胞を殺してしまいます。感染を防ぐ目的で行う消毒が「人体の細胞」を殺していたのですね😱

我々人体で、消毒液を使用できるのは「皮膚の角質の上」だけです。角質とはつまり、死んだ細胞の壁ですね。(消毒液を使うような状況は家庭にはありません。)

したがって、傷を治すためには「細胞培養の条件」を整えてあげることが大事になります。その手段が「湿潤療法」だったんですね。

傷からの浸出液は培養液

傷を優しく覆ってあげます。浸出液を(ガーゼなどで)吸い取るのではなく、傷にキープしてあげるのです。その被覆材料を「創傷被覆材」といいます。

ドラッグストアなどで「ハイドロコロイド」という素材で商品として売られています。寒天のようなゲル状のシートで覆うことで、傷を乾燥から守り、浸出液をキープします。

マメの具体的な対処法

用意するもの:

  • ハイドロコロイドのシート
  • ハサミ

処置方法

  1. 破れたマメを水道水で軽く洗い(石鹸不要)、水気を拭う。
  2. ハイドロコロイドのシートから、傷のサイズプラス5mmの縁取り(余裕)をつくって切り出す。
  3. シートを傷へ直に貼り付ける。

以上です。

傷(マメの底)から滲み出る浸出液(培養液)がキープされるのがわかります。ハイドロコロイドがふやけるからです。

浸出液がシートのフチから漏れ出たら交換です。剥がして水道水で洗い、新しいシートを貼ります。

ハイドロコロイドシートの終了時期

数日すると、ハイドロコロイドがふやけなくなります。傷が上皮で覆われ、浸出液が出てこなくなるからです。そうなれば、ハイドロコロイドシートは貼る必要はなくなります。

注意すること

感染に注意です。

  • 赤くなる
  • 痛みがでる
  • 熱を持つ
  • 腫れる

などの徴候を認めたら医療機関を受診しましょう。傷から出てきた汁がトローリしているのは感染の徴候ではありません。

実際の治療経過

冒頭で述べたように、私の中指にマメができました。マメを潰すか否か迷うのを通り越して、気付いた時には破れておりました。

そこで取り出したのは「ハイドロコロイド」なる絆創膏。これで1週間程度で治るはず。

受傷日の写真はありません😓翌日からです。

まめがつぶれたあと
翌日の中指

まだ、ヒリヒリしています。傷周りも赤いです。物理的な摩擦のダメージがあります。

ハイドロコロイドのシート
ハイドロコロイドのシート
ハイドロコロイドのシートをカット
ハイドロコロイドのシートをカット

文房具用のはさみでOK。

紙を剥がして
紙を剥がして
きずに貼ります。これでOK。
きずに貼ります。これでOK。
1日経つと浸出液でふやける。交換します。
1日経つと浸出液でふやける。交換しましょう
軽く水で洗います
軽く水で洗います

ふやけた「水ぶくれのふくろ」は不要なものです。カットしてもいいし、そのまま自然脱落を待っても良いです。

あらためて、ハイドロコロイドのシートを貼ってもう1日経過を見ました。するとどうでしょう?

さらに次の日。あまりふやけていない。
さらに次の日。あまりふやけていない。

シートがふやけていません。これは傷が治ってきたサインです。

ウェットな雰囲気が薄まり、ピンク色の上皮が現れている
ウェットな雰囲気が薄まり、ピンク色の上皮が現れている

もう1日ハイドロコロイドのシートを貼りました。

受傷して4日後。ほぼ上皮化
受傷して4日後。ほぼ上皮化

ここまできたらオープン(シートを貼らないでも)でOK😄

夕方。乾燥している
夕方。乾燥している

オープンにして半日。カピカピになっている。保湿のワセリンくらいは塗ってもいいかも。でも「マメは治癒」といっていいでしょう。

その後も傷の赤みはしばらく続きました。そして17日後の状態が以下です。

17日後です。赤みがうっすら残っているのがわかる
17日後です。赤みがうっすら残っているのがわかる

「皮膚紋理」はまだ再生していません。完全に回復するにはもうしばらくかかりそうです。

なお、破れる前のマメをどう処置するかについての記事はこちら。

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足の裏のまめ

今回使用した創傷被覆材

ハイドロコロイド包帯(アマゾンのリンク)

きずに貼ります。これでOK。
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